埼玉県内を拠点に独創的な技術や製品・サービスなどで新たな事業展開を目指すベンチャー企業のビジネスコンテスト「令和4年度彩の国ベンチャーマーケット」が、1/19(木)に新都心ビジネス交流プラザ(さいたま市中央区上落合)で開催された。主催は埼玉県産業振興公社で、県が共催。
事業提携や融資確保など事業拡大へ向けて、6社がそれぞれの革新的事業を紹介した。
3年ぶりに実地開催
通算35回目となる今開催は、3年ぶりの実地開催となった。
県内を中心に活動する6社が出場して各社の事業をPR、同公社の神田文男理事長や埼玉ニュービジネス協議会の久礼亮一会長などが審査にあたり同公社賞と県知事賞が贈られる。
各社発表後は特別講演として、前年度開催で県知事を受賞したIDレーザー(川口市栄町)の梅澤亮一代表取締役社長も登壇。IDカード動向や同社の技術紹介した。
生活サービスからDXまで、新たなニーズに対応
このうち、越境ECや中国SNSマーケティングを手掛けるクレソン(東京都中央区、青木毅代表取締役)は、中国越境ECとインバウンド施策を掛け合わせたビジネスを発表。中国のSNSでインフルエンサーにより日本の観光スポットや文化を紹介し、ECに誘導した上で日本への観光客誘致を図るビジネスモデルで、自治体などからも受注例あり。
CGや映像のプロデュースなどを行うSPS合同会社(蕨市中央、堀場政男代表取締役)は、ARサンドテーブルを発表。OS内蔵のテーブル上でアイコンを動かすと接続するモニタも連動して映像が変わり、動かせるマップやショールームにも応用可能。
unibus(吹金原榛耶代表)は、大学生のために作成した同名のつながるバス時刻表アプリを紹介。スクールバスの時刻を表示するだけでなく大学のある地域のグルメを紹介しクーポンなども配信することで、若者の地域離れに対応する。東京電機大学鳩山キャンパスでは1000を超えるダウンロードもある。「スクールバスのみならず、コミュニティバスなど地域コミュニティの活性化にも応用できれば」と意気込む。
キャリアビーム・コンサルティング合同会社(川越市新宿町、内田修代表)は、DX推進人材育成に向けたDXリテラシー強化事業を発表。埼玉に本社を置くDX登録認定事業者はわずか7社だが、同社はその一社としてDXに関する研修を展開。定評あるテキストで技術を学ぶだけでなく、各産業分野の業界知識としてビジネスモデル・デザイン思考を同時に学習できる。価格優位性が高い点も特徴。
11月のSaitama Smile Women ピッチでも最優秀賞を獲得したASTRA FOOD PLAN(富士見市鶴瀬東、加納千裕代表取締役)も出場。製造工程や農業で出ている「かくれフードロス」に対応すべく、ロス食材を高温スチームで乾燥させ粉末にするシステムを発表した。既存のフリーズドライは規模が大きく乾燥時間も長いが、省スペースかつ短時間で実施可能。大手飲食チェーンの玉ねぎの端材を粉末するとローストオニオンに近い香りがするが、これを挟んだパンも大手パンメーカーから2/2より販売される。
電知(本庄市西富田、向山大吉代表取締役社長)は、EV時代の到来へ向けて車載電池の再利用に向けて開発した診断機を発表。80%程度の容量となった車載電池を他の用途へ再利用すべく、SCI法を用いて車載電池の簡易診断、単体モジュール・セルの精密診断、別用途のパックシステムによるリユース診断の3本立てで行う。このうち、簡易診断については県の補助金の元、IoT電池診断システムを構築。EVに接続することで手軽に診断ができる。信頼性やコスト優位性を担保した。
受賞で各企業も意識高く
審査の結果、同公社賞は電知、県知事賞はASTRA FOOD PLANに決定。受賞にあたり「EV診断も元年だからこそ、鋭意開発・営業を進めたい」と電知の向山社長。
受賞後は出場した各企業も紹介ブースに立ち、来場者と名刺を交わして交流を深めた。
県知事賞 ASTRA FOOD PLAN 加納千裕代表取締役インタビュー
ーーSmile women ピッチに続く受賞となって、率直な感想を
このような賞を受賞すると、周りの反応も変わってくる。現に融資に繋がったり地元商工会からも引き合いが来た。
富士見市に受賞を報告するなど、地域のネットワークと直接のつながりもできてくる。
ーー今後はどういったことに取り組んでいきたいか
パウダーの関連開発や、流通体制整備へ向けて地域に工場を構えたい。特に工場を構えることで生産拡大が期待できるだけでなく、端材が出ているメーカーにもアピールできるモデル工場としても位置付けている。
