【埼事記 2022/12/11】暴力団員が中学生と「知り合い」 子ども達を守ろう

■「右翼は暴力団に弱い。暴力団は警察に弱い。警察は右翼に弱い。この三つをうまく使って物事を収めろ」

深谷市出身で、消費者金融・武富士を創業した武井保雄(1930〜2006)の言葉である。ジャーナリスト盗聴事件で逮捕された後に肝不全で急逝、同社も過払い請求などに伴う業績悪化から、2010年に会社更生法を適用し2017年には消滅した。

武富士ダンサーズのCMで一斉を風靡したものの、その裏には上記の三すくみを心得ていたこともあるのかもしれない。

■先週12/7、埼玉県内でにわかに信じがたい逮捕劇があった。

10月に川口市内の男子中学生を連れ去って集団暴行の末に全治3ヶ月の大けがを負わせたとして、中高生や指定暴力団住吉会系組織構成員の男ら男女11名が県警に逮捕された。

事の発端は被害者の男子中学生が加害者側の女子中学生とSNSで行なった、「俺は埼玉でも有名なヤンキー」というやりとりだったという。そこから女子中学生と口論になり、女子中学生は「知り合い」の暴力団関係者の男に相談。暴走族などの不良グループも連れて深夜の被害者宅に乗り込み拉致、鉄パイプや拳で殴打を加えたとされている。

■未成年のトラブルに半グレなど不良グループが介入する事件はしばしば発生しているが、何より驚きなのは暴力団関係者が介入しているという点だ。しかも加害者側の女子中学生と「知り合い」と、直接の接点があるということにも一層驚かされる。

バブル期は地上げで荒稼ぎした暴力団も、近年では構成員の減少や高齢化が進んでいる。加えて、1992年の暴力団対策法施行に伴い、公然と活動もしづらくなっている。特にみかじめ料恐喝や覚醒剤販売など資金調達については厳しく取り締まられており、「暴力団は警察に弱い」の所以にもなっている。

そうなると警察の目をくぐり抜けた資金調達が横行している。例えば振り込め詐欺など特殊詐欺はもちろん、海産品密漁に果てはタピオカドリンク店経営とその方法も多様化しているという。

女子中学生と同関係者がどのような経緯で知り合ったかは明らかではないが、近年ではSNSの発展により見ず知らずの人と気軽にコミュニケーションが取れるようになった。もしSNS上で一般人を装って接近して懇意になったとしたら、これほど恐ろしいものはない。

■この女子中学生も親をはじめとした家族や地域の知り合い・友達などに相談していれば、ここまで大事にはならなかったはずだ。子どもにとって、家族や地域の大人や同じ子どもは共に助け合って生きていける良き仲間といえる。

それでも、公然と活動できない暴力団関係者がSNSなど素性を隠す形で、善悪の判断がつきにくい子どもたちに接近しているとしたら、これは一大事だ。

覚醒剤でも売りつけられたら、その子の人生はおしまいだ。

■家族や地域が悩める子どもを無視して、暴力団に売り渡してもいいのか。それは絶対に許されない。

子どもの交友関係を一人ひとり詮索する必要はないし、そこまでは求めない。彼らも彼らとてプライバシーや譲れないものはあるし、そこは一人の人間として尊重をしたほうがいい。

ただ、日常的に会話をしたり悩んでいるときは慰めたり傾聴するなど、とにかく子どもに寄り添ってあげてほしい。少子高齢化だからこそ家庭や地域にとっても子どもは宝だし、そうした輪の中で助け合いながら生きていくことで困難にも立ち向かっていける、ということを学ばせてほしい。

小生も独り身で当然子どももいない。それでも、地域の子どもが苦しんだり闇に染まったりすると、胸が痛む。ともすれば「おじさん」と呼ばれる年代にもなったが、今できることとしては、子どもともコミュニケーションをとり「ここにいて楽しい」と思わせることくらいだ。

■「子どもっていうのは、可能性の生き物なんですよ。たくさんの選択肢を、毎日持ってるんです。大人も実はそうなんですけどね」

アニメーション監督の宮崎駿氏の言葉である。

暴力団なぞに子ども達の可能性をつぶされてたまるか。

皆で可能性を追求するためにも、子ども達を、そして自分たちを守ろう。

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