【埼事記 2022/12/7】大宮駅東口火災 人ごとにせず火災対策を

■「百年で出来る森林も、百分間に焼ける」

道路交通法で左側通行導入を提唱するなど、日本の警察・消防行政の基礎を築いた松井茂(1866〜1945)が著書「國民消防」において記した言葉である。

思い起こすと4年前の2018年、米国カリフォルニア州で山火事が発生し、瞬く間に東京ドーム13300個分もの森林が失われていた。火というものは調理などで文明の利器になるが、時として牙を剥き人や自然を灰にしてしまう。

■先日11/27、日曜の朝早くに中山道を走る消防車のサイレンで小生は目覚めた。このところ街中で消防車を見かけることも多く「またどこかで火災か」と、半ば日常茶飯事のように捉えて二度寝をした。しかし、二度寝から起きてニュースを見てみれば、見慣れたあの場所で火災が起きているというではないか。

このようにして把握したのだが、同日朝6時半頃に大宮駅東口で火災が発生。死傷者はいなかったが、同駅至近の薬局と飲食店が焼失した。近くのビルのエアコン室外機にのっていた段ボールが火元だったという。

現在でも現場は規制線が張られており、こりすのトトちゃん像前に集合できるのはしばらく先になりそうだ。

■同駅周辺での火災は決して珍しいものではなく、年に1度は中規模な火災が起きていると実感する。2017年に大宮北銀座でビル火災があり、尊い命が奪われたのは記憶に新しい。

それでも、休日の早朝であったものの普段多くの人々で賑わう同駅東口での火災発生は大きな衝撃であった。もし多くの人々でごった返す平日や迫る十日市の当日に起きていたら、少なからず死傷者も出ていたことだろう。

こと付近は経年の高い低層のビル群が密集するが、一つの火災がすぐ近くに伝播することも考えられる。大宮駅グランドセントラルステーション構想で再開発の機運も高まっているが、火災をはじめとした災害に強いまちづくりが望まれる。

■さいたま市が今年2月に発表したところによると、昨年2021年に同市内で発生した火災件数は300件と前年比36件増だったという。このうち約6割の172件が建物火災で、件数自体も増加傾向だ。

1月や2月や12月と、暖房を使う機会も多く空気が乾燥しがちな時期に発生件数が多くなっている。

出火原因別にみると「放火(疑い含む)」が74件で最多。「たばこ」40件「こんろ」23件「電灯・電話等の配線」23件「配線器具」22件と続く。

■どれだけ万全なまちを造ったとしても火災は起きうる。台所やタバコといった人為的な発火だけでなく自然発火も考えられる。

今回の火災も人為的発火か自然発火かは判別できないが、段ボールという発火の可能性があるものを然るべき処置をせず屋外放置すると、乾燥した空気の中で発火しかねない。エアコンの室外機も虫などが入り込めばショートして発火する可能性もある。それで引火でもしたら、目も当てられない。

現場で写真を撮る者も多いが、決して単なる見世物ではない。各人がこの火災から危機感を抱き、自分ごととして捉えて身の回りを改善していくべきだ。火災は人命だけでなく住むところや思い出の品々と人生をも奪いうる。安全なところにいる気になっていると、足元を掬われる。

小生もせっせと庭の落ち葉の清掃にも勤しんだが、小さなところからでも実践していこう。

■ところで、中東カタールで燃え盛っていた青い炎は消えてしまったようだ。

小欄でも取り上げたカタールW杯出場のサッカー日本代表は、あの後予選リーグでコスタリカに痛恨の敗戦も、またしても強豪スペインを逆転で破って決勝トーナメントに進出。大金星の連続にますます列島は歓喜した。しかし決勝トーナメント第1戦のクロアチア戦でPK戦の末に敗れ、悲願の8強とはならなかった。

最後の1秒まで諦めず燃え続けたイレブンに敬意を示したい。

さあ、十日市も迫り、寒空の下でも次は我々が熱狂の炎で燃え上がる番だ。

火災に気をつけつつ、冬を楽しもう。

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