天下の勝地・長瀞町 その5 大地と大河が作りし名勝ー長瀞渓谷

腹ごしらえも済ませ、いよいよ長瀞町切っての注目スポット・長瀞渓谷へ足を踏み入れる。

川下りでも大いに名を馳せているスポットだが、その成り立ちや特徴は非常に興味深い。

渓谷への小道はまるで京都!?

玄関口である長瀞駅から渓谷まで、歩いて5分ほど。

蕎麦を食べたそば処はやしもこの道中にあるが、渓谷へ続く小道の左右には長瀞岩畳通り商店街として古風な飲食店や土産物店が軒を連ねる。そこを多くの観光客が行き交う。埼玉ではないが、旅行で訪ねた京都・清水寺周辺を思い出す。

それにしても、寶登山神社にしてもこの長瀞という地域は比較的鉄道駅から歩いて行くことのできるスポットが多い。無論自転車や車があれば移動範囲は広がるが、徒歩でも十分散歩回れるのがまたいいところ。

多くの人の波をくぐり抜け、ようやく渓谷へと至る。長雨で水かさは増しているが、雄大な岩と緑のコントラストが素晴らしい。

関東近郊の一大レジャースポットということもあり、多くの観光客が詰めかけている。新型コロナの流行下ではあるが、連休中ということもあるのだろう。

スポンサーリンク

長瀞渓谷の紹介

同渓谷は荒川上流部に位置する渓谷で、全長はおよそ6kmに及ぶ。瀞というのは川の水が深くて流れが静かな所を指すそうだ。

後述するように長年の大地の変動や川の働きによって形成され、不整合や褶曲などが随所に見られる。明治時代になるとドイツ人地質学者ナウマンらによる調査団が地質調査に入り、その地質学的な価値の高さが認められ同地含む秩父一帯が「日本の地質学発祥の地」として地質学発展に大きく貢献することになった。地球内部を垣間見える場所として「地球の窓」の異名も持つ。

川合玉堂「行く春」にも描かれるなど景観も見事な同渓谷。1924年には「長瀞」名義で国の名勝及び天然記念物に指定されている。

現在ではラインくだりやラフティングなどアウトドアスポットとしても名高い。

スポンサーリンク

地球の窓から見える大地

かつては川底 長瀞岩畳

同渓谷で思い浮かぶのは、やはり岩畳だろう。板状の岩が何枚も積み重なったようで、上を歩くこともできる。

同渓谷は関東から九州まで約800kmにわたって続く三波川変成帯の東端に当たるが、一帯は結晶片岩によってできている。これは白亜紀前期に海洋底に堆積した火山噴出物と泥や砂が、約8000万年前頃にプレートと共に地下20~30km以上深くに取り込まれ変成されたもの。片理ができたことでうすくパイ生地のように剥がれやすくなった。

ちなみにどのようなメカニズムで地上に上がってきたかは、未だ解明されていないそうだ。

そしてこの岩畳は片理と地下深くから隆起した際にできた垂直方向の割れ目、さらに荒川の侵食が作り出した河成段丘になる。今となっては水面よりかなり高い箇所にあるが、昔はここが川底だったのだ。

その証拠に、岩畳を歩いているとポットホール(甌穴)という丸い穴が何箇所か空いているのが見てとれる。これは川の侵食でできた窪みに石などが入ってできたもの。川の流れで石が回転するため、このように丸い穴となる。

岩畳には直径1.5mほどで大人が入れる大きさのポットホールもある。

秩父のレッドクリフ

500mほど下流に進むと、対岸に秩父赤壁が見える。中国の赤壁(レッドクリフ)にちなんで、その名がつけられた。

こちらも川の侵食によって作り出された断崖だが、地中の鉄が空気で酸化することで酸化鉄が形成され赤く見えるのが特徴だ。

スポンサーリンク

この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事