人々にコタエル家づくりを 蓮田市・山岸工業が創業100周年

蓮田市を本社にさいたま市や北本市など埼玉県中央部で注文住宅や分譲住宅を手がけ、「コタエルハウス」の名前で知られる山岸工業(蓮田市本町、山岸茂夫代表取締役)が本日をもって創業100周年を迎えた。

大正・昭和・平成・令和の四時代にわたって展開してきた同社の家づくりの真髄やこれからの展望について訊いた。

材木店からのスタート

同社は1923(大正12)年に寺社・仏閣へ向けた木材を扱う企業として創業。同年9月に発生した関東大震災による家屋損傷で木材の需要が急騰。それに従って同社も躍進していったという。戦間期や高度経済成長期を経て、同社も神社仏閣や学校や家屋など木造建築を手がける建築業として発展した。

現在の法人となったのは1972年で、以後も本業たる建築業や材木商を中心にグループとして多角化を図ってきた。リフォームや不動産部門の設立やタクシーハイヤーへの進出やレストランの運営などを通じて、建築だけでなく地域の生活を支えるグループへと進化している。

創業90周年を迎えた2013年には、対外的なブランド名として「コタエルハウス」を制定。以来CMなどでも同名称が使用されているが、それまでのイメージを刷新した名称で分譲住宅を求める顧客層には好評という。

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長い歴史で顧客満足に

同社は蓮田を本社に、大宮店(さいたま市大宮区大成町)と北本店(北本市二ツ家)の2店鋪で営業。大宮店にはモデルハウスが隣接する。

県内のJR宇都宮線・高崎線沿線を主たる市場としているが、家族連れのファミリー層が来店することが多くそういった層が主たる顧客層となっている。インターネットの発展に伴い、基本的な物件情報はネットで調べた上で実際の物件の見学について相談を受けることが多いそうだ。そうした顧客も同社だけでなく複数の物件を見て検討していることが多い。

家の購買に影響を及ぼすのは価格と場所が大きいが、同社の場合は100年近い歴史がある点も大きな差別化要因となっている。長い歴史のもとで培われた知恵や技術を基に、顧客が何を求めているか、時代のニーズを踏まえながら体現していくのに長けている。これだけの歴史があるハウスメーカーは珍しく、顧客からの反応として手応えを感じている。

加えて、同社の営業マンのスキルにも定評がある。同社は建築や業界知識に長けたベテラン営業マンを多く採用、顧客一人一人とも的確かつホスピタリティのあるコミュニケーションを体現している。安定した環境ゆえ個々の営業マンのスキルが発揮しやすく、顧客満足にも繋がりやすい。

コロナ禍での状況は

ここ3年の新型コロナウイルス感染症拡大で小売業を中心に苦戦を強いられるBtoC企業も少なくない中、同社の業績は上昇基調という。

特にコロナ前は都心回帰で都心部で住宅需要が高かったが、コロナ禍ではテレワークなども普及したこともあり地価の安い埼玉・千葉方面で住宅需要も増加傾向にある。加えて、家の中で仕事がしたいという需要も高まっていることから、書斎や声が漏れないような防音の部屋を設ける動きも強い。

同社としても注文住宅だけでなく分譲住宅でもこうした需要に対応し、顧客満足につなげている。

物流の混乱やウクライナ侵攻に伴い原材料費の上昇も顕著な中、同社においても材料費の割合が高まりつつある。それでも同社で扱う木材は国産で、輸入材に比すると供給は安定しているようだ。

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「この場所、このエリアで」

埼玉県中央部で確かな事業基盤を築いてきた同社だが、「規模の拡大はないにしても、この場所で、このエリアで」と今後も地域にこだわった経営を展開していく。

単に家を売るだけでなく、顧客生涯価値を高めるため実際に購入した顧客のどこに応えていくか、顧客が何を欲しているかーこれまで以上にこだわっていきたいという。

100周年だから伝統があるのではなく、それだけの歴史があるからこそ顧客の嗜好に合わせられるし要望も聞ける懐の深さが同社の持ち味と言える。「その時々のトレンドに合わせた家も作っていければ」と意気込む。

会社概要

山岸工業株式会社

  • 本社住所:〒349-0123 埼玉県蓮田市本町8番11号
  • 事業内容:分譲住宅・注文住宅の設計・建築、不動産売買、住宅リフォームなど
  • 資本金:3,000万円
  • 売上高(令和4年度):36億円
  • 従業員数:56名
  • 取得認証:ISO9001、ISO14001など

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