岩槻人形博物館はどう写る?

鍵はリピーターの獲得

そんな同氏をして、同じく県内の一大産地である岩槻に開館する岩槻人形博物館はどう写るか。

それ自体はとても素晴らしいことと同氏は評する。

人形に限らず他にも地域の伝統工芸を紹介する施設はあるが、交通アクセスが良好でないなどの理由で利用客が伸びないということもあった。しかし、同館の場合は交通アクセスが良好な大宮近辺にあり、岩槻駅からも程近いだけに地の利では大きく有利としている。

ただ、成功にはいかにリピーターをつけていくかが重要と同氏。博物館だけに大きな展示替えはあまりないが、例えば企画展や地域でのイベントなどを通じて再訪問につなげられるかが問われてきそうだ。

担い手不足で問われる継承

大人向けの需要もあるとはいえ、まだまだ雛人形は本来の女子の成長を祝うための需要が主流だ。

それゆえ子ども、それも女子が生まれない限りは必要がないものだが、近年の少子化に加え核家族化の進展に伴って家庭でも雛人形の文化を語れる存在が少なくなっている。

所沢でも岩槻でも言えることだが、何より職人も高齢化で少なくなってきている。

同氏も「あと数年」と自身の今後を見ているが、人形協会に参加している工房で何かイベントをやろうにも高齢化で思うように動けないという事情もある。

それゆえ人形文化の紹介はもちろん、未来への「バトン」としての役割が同館には求められてきそうだ。

雛人形は古くから庶民の間で親しまれてきただけに、庶民に届く一つの作品としての側面もある。それゆえ庶民の手から離れてしまった時こそが真の終焉、と同氏は警鐘を鳴らす。

スポンサーリンク

読者へのメッセージ

最後に読者に向けてのメッセージをいただいた。

雛人形を選ぶ際には最低でも3軒は人形店を訪ねて、手に取ってじっくり見ながら検討するのがいいと同氏は語る。

実際に手に取ることで、各店舗の個性も見えるし写真だけではわからない質感も感じられる。一生ものの買い物だからこそ、じっくり時間をかけて検討するのがいいということなのだろう。

同館が開館する2/22(土)からは同館含む岩槻駅東口周辺でまちかど雛めぐりが開催される。(3/8まで)

道を歩けば多くの人形店を目にする岩槻で、古くからの文化に親しむと同時にその裏にあるドラマやこれからを想像するのはいかがだろうか。

おわり

スポンサーリンク

この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事