渋沢栄一をブームで終わらせないについて

続けて江原久美子議員(県民会議)による質問です。

質問内容

明治から昭和の初めにかけて近代日本の礎を築いた渋沢栄一が、今話題沸騰中です。

2024年からは1万円札の肖像になり、さらに2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主役にも抜擢されたためです。

資本主義の考えを日本に持ち込んだだけでなく、小さな資本を集約し大きな資金とする銀行という概念を持ち込んだのも大きな功績。第一銀行や王子製紙など多くの企業の設立にも関わり、まさに近代資本主義の父といえます。
一方で関わった事業が多く一つで説明できないことが知名度の低さに繋がっているのかもしれません。それでも渋沢の唱えた道徳経済同一説は多くの経営者のバイブルになっているなど、いまだにその影響は計り知れません。

40年ぶりの紙幣肖像になり、大河ドラマの主人公にも決定するなど、このゴールデンウィークには生まれ故郷である深谷の地には通常の何倍もの観光客が押し寄せました。

それでも県内ではその功績について理解があまり進んでいないと感じます。
優れた企業に贈られる渋沢栄一賞を実施していますが、それだけでは足りないのではないでしょうか。

知事も大河ドラマには期待のコメントを出していますが、今こそ県をあげて渋沢の功績を語りつぎ理解を促していくことが必要です。
大河ドラマやお札で一時的なブームとなるが、将来にわたってその功績を語り継ぐ必要があると感じます。

その一環で、観光振興として渋沢を軸にロケ地めぐりや県北の3偉人など広域観光を打ち出すことが考えられます。
会派でも渋沢が功績を残した北海道清水町へ視察をしたが、大いに盛り上がっていました。

紙幣発行に合わせて渋沢に関係がある自治体が集まっての共同イベントや日本遺産への登録、渋沢栄一記念館のリニューアルなども一考の余地がありそうです。

埼玉県がブームを一過性で終わらせず、永続させることで地域経済の発展にもつながります。

知事は渋沢をどう評価し、観光や経済振興など今後の施策をどう行なっていくか質問します。

大野知事からの回答

大野知事からの回答です。

紙幣肖像だけでなく大河ドラマの主人公に決定したことは県としても二重の喜びで大変うれしく感じています。

著書「論語と算盤」の中でも「真の富とは道徳に基づくものでなければ長くは続かない」とし、設立に関わった多くの企業がいまだに日本経済の原動力となっています。
企業の目的は利潤の追求にあるとしても、その利益は社会に還元しなければならないと渋沢は多くの福祉活動に従事しました。
晩年は世界平和にも貢献し、ノーベル平和賞の候補になりました。

経営学の父とされるピーター・ドラッガーも著書「マネジメント」で渋沢は誰よりも早く経営の本質を責任と見抜いていたと評価しています。

だからこそ渋沢は近代日本の礎を築いただけでなく、優れた思想家の一人であると考えています。
渋沢の論語と算盤の精神は経済成長と環境・社会との調和を図るSDGsの理念そのもので、社会における企業の役割を体現しています。

企業倫理が問われる中で渋沢が注目されているのは、時代が渋沢の精神を求めているのであり、国内だけでなく国際的にも評価されるべきと考えます。

加藤産業労働部長からの回答

続けて加藤産業労働部長からの回答です。

一人物が紙幣肖像になり大河ドラマの主人公となるのは過去に例のない出来事です。

このビッグチャンスを観光や産業振興に生かすのは、大変重要と考えています。

ロケ地めぐりは作品の登場人物になった気分を味わえ、作品理解を深められるので大変魅力ある観光メニューです。
印象的なシーンが地元で撮影されれば、全国から多くの観光客の来訪が見込まれます。加えて観光消費額の増加や埼玉のイメージアップが期待できます。
より多くのシーン撮影が県内で行われるよう、制作を担当するNHKや制作担当者に働きかけていきます。

渋沢を含む埼玉の3偉人はいずれも県北出身で、周遊観光の促進は県北地域の広域的な観光振興に寄与します。
地域の食や酒を楽しむ提案を効果的に組み合わせ、地域経済の活性化につなげていくことが重要です。
昨年旅行業務の免許を獲得した埼玉県物産観光協会を主体に、魅力的な3偉人めぐりの企画運営に取り組んでいきます。

合わせてトラベルマートを活用して、県外から多くの観光客を取り込める旅行商品を開発していきます。

紙幣発行時のイベントも周辺自治体への波及効果を考慮して、まずは深谷市と調整に当たっていけたらと考えています。
日本遺産や記念館リニューアルについても地元での議論や取り組みを踏まえ、県関係部局と調整を進めていけたらと考えます。

加えて埼玉以外の近隣自治体とも連携し、渋沢にスポットライトを当ててより広域的な観光振興を目指していきます。

いずれにせよ一過性で終わらせないよう、深谷市や県北地域を中心に関係自治体や機関と連携を密にしてこのチャンスを最大限に生かしていくとしました。

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あおり運転の防止対策について

最後に橋詰昌児議員(公明党)による質問の紹介です。

質問内容

近年問題になっている自動車で車間距離を極端に詰めるあおり運転の根絶に関して、対策が必要と考えての質問です。

常磐道で発生したあおり運転では車を止めさせ窓越しに殴打する映像に、多くの人が背筋を凍らせました。また愛知の東名高速道路であおり運転の後にエアガンで車体を傷つけた事件も記憶に新しいです。
このような危険行為を絶対に許してはなりません。

警察庁では昨年、悪質で危険な運転に対しては道路交通法だけでなく刑法の殺人罪や暴行罪も適応しうるなどあらゆる法令を駆使して取り締まるよう全国の警察に通達しました。
著しく危険な運転をする恐れのあるドライバーは危険性帯有者として、違反の累積点数に満たなくても積極的に免許停止を行うこととしています。

それでも今回の衝撃的な事件を受けて、さらなる厳罰化を求める声は少なくありません。

車を強制的に止める場合は危険運転致死傷罪の適用が難しい状況です。
また実際にあおり運転を行うと違反点数が増え免許取り消しとなりますが、帯有者と判断されるのでは最長180日間の免許停止に留まります。常習性や危険性に応じて免許取り消しも必要でしょう。

それゆえ検討すべき課題はいくつもあります。

2017年にも公明党議員が質問していますが、その際は今後も悪質危険な運転行為への取り締まりを強化しあおり運転防止に努めるという回答でした。

県警でも啓発活動やヘリによるパトロールなど取り組んでいますが、具体的な成果を質問します。
道路交通法にあおり運転の条項を加え抜本的に対策する必要があると考えますが、県警にも取り締まり強化が求められます。
この件に関して、警察本部長の見解を質問します。

高木警察本部長

高木警察本部長からの回答です。

あおり運転は交通安全と円滑への障害に止まらず、意図的に危険を生じさせる極めて悪質な行為です。
県警ではヘリコプターと連携するなどして、車間距離保持義務違反・追い込み違反・割り込み違反などへの取り締まりを強化しています。

その結果、昨年1年間に車間距離保持義務違反等を2063件検挙しました。検挙数は前年より500件以上増えています。

さらに悪質な行為に対しては、暴行罪などの適用も視野に入れ積極的に捜査を行なっています。
今年はまだ摘発はないですが、昨年1年間であおり運転の摘発は5件発生しています。

交通ルールを守り相手の立場になって運転するのが運転者の基本的な心構えです。このことについて、免許更新時の講習や各種キャンペーンで啓発を行っています。

今後も悪質危険な運転行為に対する交通取り締まりを強化し、更新時研修などあらゆる機会を通じてあおり運転を行わないことや安全な車間距離の保持に関して一層の教育啓発を行い、あおり運転防止を図っていくとしました。

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