自動車による事故をなくすための決議

決議全文

最後にご紹介するのが、県内での施策の方向性を決める決議。

高齢者による自動車運転事故の増加を受けて、以下のような決議がなされました。

本年4月、東京都豊島区において高齢者が運転する自動車により、母子2人が死亡するという痛ましい事故が発生した。その原因は、ブレーキとアクセルの踏み間違いの可能性が高いと報道されている。
警察庁によると75歳以上の運転者は、75歳未満の運転者と比較して免許人口10万人当たりの死亡事故件数が約2.4倍と、死亡事故を起こしやすい傾向にある。特に、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故は75歳以上の運転者の事故全体の5.4%と、75歳未満の運転者の1.1%に対して約5倍の高い水準にある。今後も高齢の運転者の増加が見込まれる中、事故防止対策を充実させることは、喫緊の課題である。
また、当該事故の後、運転免許証を自主的に返納する高齢者が増えているという報道がある。運転に不安を抱えながらも自動車による移動が必要な高齢者にとって、自ら自動車を運転することに代わる移動手段の確保が重要であるため、社会全体で高齢者の生活を支える体制を整備する必要がある。
さらに、本年5月には、滋賀県大津市の交差点において自動車同士が衝突して歩道に乗り上げ、園児らが死傷するという痛ましい事故が発生した。警察庁によると、歩行中・自転車乗用中の死者数、交差点付近での死者数ともに交通事故による死者数全体の約半数という高い割合を占めることから、交通事故から園児等歩行者を守るための取組を更に強化する必要がある。
よって、本県議会は、自動車による事故をなくすため、県において下記の措置を講ずるよう強く求める。

1   高齢者がペダル踏み間違い時加速抑制装置を自動車に後付けする場合など、県が補助する制度を創設すること。
2   高齢者が自動車を運転しなくても生活できるような社会体制の整備を官民一体で推進すること。
3   交通事故の危険度が高いと思われる通学路、園児の移動経路、交差点等において、安全な歩行空間を確保するため道路環境を整備するとともに、必要な財源を確保するよう国に強く働きかけること。
以上、決議する。

令和元年7月5日

埼玉県議会

県内での高齢者事故の状況(2019年1月〜6月)

全国的にも高齢者による自動車事故が多く発生していますが、県内の状況を見てみましょう。

(埼玉県警察発表資料より、以下同)

今年1月〜6月の半年間、県内では65歳以上の高齢ドライバーによる事故が2,262件発生しています。これは前年同期比84件の減少です。

それでも75歳以上の高齢ドライバーによる事故は803件と同25件増加となっています。

また死者数は10名で同6人減少となりました。

年別に見ると年々件数そのものは落ちてきているものの、構成率は増加傾向にあります。

原因を見ると一番多かったのは安全運転義務違反のうち安全不確認で、全体の半数近くを占めています。

昨今問題となっているアクセルとブレーキの踏み間違いは統計には出ていないものの、少なからぬ件数が発生していると見られます。

道路環境の整備や踏み間違い防止装置の購入補助はもちろん、免許返納の促進や代替交通手段の整備などが求められます。

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上田清司知事からの御礼

さて、会期初日に今期限りで退任する上田清司県知事が最後となる知事提案の場で御礼の言葉を以下の通り述べられました。

はじめに、一言御報告をさせていただきます。
 私は、現在の任期をもって退任することといたしました。
 県知事として平成15年9月からの約16年間、県政改革に挑戦し全身全霊で本県の発展に取り組んでまいりました。
 この間、県議会の皆様には一方ならぬ御支援・御協力をいただき、また、市町村・各種団体並びに県民各位の力強い応援もいただきました。この場をお借りしまして心より感謝を申し上げます。
 任期が満了する8月30日までの75日間につきましても、全身全霊をもって県政に取り組んでまいりますので、よろしく御指導お願い申し上げます。

同氏の今後の動静も気になりますが、いよいよ来月に行われる埼玉県知事選挙。(告示日8/8、投開票日8/25)

果たして9月の定例会で知事として登壇するのは誰になるか、引き続き注目です。

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