【埼玉県議会短信】ポストコロナ元年位置付けてー令和5年度一般会計成立

3/17に閉会した埼玉県議会2月定例会において、知事提出の令和5年度当初予算案など68件、議員提出議案8件が原案可決となった。

このうち、来年度一般会計について解説する。

持続発展へ向け編成

新型コロナウイルスの感染法上での位置付けが5/8以降に現在の2類相当から5類へと変更されるなど、折からのコロナ対策が一つの転換点を迎える。コロナ禍を契機にDXも加速したが、昨今ではウクライナ情勢の長期化に伴いエネルギー価格の高騰も大きな課題となっている。

国の方針を踏まえてコロナ対策を継続しつつも、「ポストコロナ元年」として10年20年先を見据えて地域の持続的な発展につなげていくのが、同予算の狙いという。「社会的課題の解決と経済の両立」、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」、「『日本一暮らしやすい埼玉』実現への加速」の3点を最優先事項として、限りある財源を重点的に配分して編成した。

過去2番目の規模

同予算の規模は2兆2,110億9,500万円で前年度比0.8%減。前年度予算が過去最大規模だったが、それに次ぐ規模となった。なお、特別会計や企業会計を合わせた全会計は3兆6,584億6,987万5千円で同0.4%増。

歳入としては、▽個人県民税や法人ニ税など県税収8,148億円▽国庫支出金2,978億円▽県債2,007億円など計上。

歳出では、教育費に教職員給与費や特別支援学校の建設費などで4,767億円を計上。また市町村が行う介護給付や保育所等の運営費への負担金や新たな児童相談所の整備など、民生費に4,275億円を計上した。市町村への交付金や他会計への支出金など諸支出金は3,665億円の見込み。

DX人材育成もー社会的課題の解決と経済の両立

資源のスマートな利用の推進に向けて、サーキュラーエコノミーの推進に1億1,708万2千円を計上。県産業振興公社にサーキュラーエコノミー推進センター(仮称)を設置し、県内企業からの相談対応や普及啓発、販路拡大に向けたマッチング支援などワンストップ対応を行う。また、県内中小企業などによるビジネスモデルの創出に対する補助も実施予定。

また、脱炭素化とエネルギーレジリエンスの確保に6億5,235万円を計上。認定事業者を通じた省エネ・再エネ活用設備導入に対する家庭・企業等向け補助制度も新たに創設する。

このほか、社会全体のDXに向けた人材の育成には1億2,404万1千円を計上。高等技術専門校でIT系を中心に在職者向けの技能講習を実施し、知識・技能の向上や資格取得などを支援。また、AI・ IoT関連講座の開講や、企業ニーズに対応した「働く人のためのオンラインDX推進講座」も開かれる。

巡回接種も推進ー新型コロナウイルス感染症の拡大防止

新型コロナウイルス感染症対策には1,371億8,479万8千円を計上した。引き続き病床など保健・医療提供体制や軽症者の療養体制、およびコロナワクチンの接種体制などを拡充させる。

特に生活介護を必要とする陽性の高齢者に対応する施設を県内4か所での運営に拡充する。また、県の接種センターから離れた地域へ向けて、ワクチンバスを活用した巡回接種を新たに実施していく。

「日本一暮らしやすい埼玉」実現への加速

子育て支援の充実に24億3,013万6千円を計上。市町村による第1子以降への給付や支援事業に県が上乗せでギフトボックスなどを配付する。 また、産前産後から就学後まで身近な地域で安心して子育てができるよう、市町村と協働して推進する。

児童虐待防止対策の強化へ向けて1億4,929万8千円を計上。管轄人口の平準化、迅速かつきめの細かい対応を図るため、朝霞市内に一時保護所付設の朝霞児童相談所を整備する(令和7年度開所予定)。

地域公共交通の活性化に3,921万円を計上。市町村、交通事業者におけるスマート技術を活用したDXや、コンパクト・ネットワークによる交通再編の取組を支援する。

県内のイノベーション創出に向けた支援には3,586万円を計上。「渋沢栄一創業プロジェクト」として、起業家や企業等の交流、イノベーション創出を行う「渋沢栄一起業家サロン(仮称)」の調査検討や運営事業者の選定準備、オープンイノベーションセミナーの開催や起業家教育の大学間ネットワークの構築に着手する。また中小企業の資金繰り支援として、県中小企業制度融資に総融資枠3,600億円を確保。伴走支援型経営改善資金の融資枠も200億円から1,000億円に拡大するなど、ゼロゼロ融資の借換需要に対応する。

このほか、県産木材の利用拡大に1億496万円を計上。住宅建設に携わる工務店などに対して県産木材利用量に応じた支援や、木材加工施設の整備や新たな流通ルートの確立など輸入木材に依存しない県産木材供給体制の構築支援に取り組む。

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