コロナ禍における高齢者の健康づくりについて

田並尚明議員(民主フォーラム)は、コロナ禍における高齢者の健康づくりについて質問した。

質問内容

コロナ感染を恐れて、外出や施設利用を控えた高齢者の身体機能に悪影響が出ている可能性がある。
通所リハビリや短期入所の利用率低下や家族が帰省できず、対応が遅れているといった声も各自治体で出ている。

県での昨年4月〜10月の状況を調べたところ、初の緊急事態宣言が出された4〜5月は区分変更申請が前年同期比10%減だった。
それ以降10月からは2割増だったが、平均して平年並みとなった。介護度が上がった割合も平年並みだった。

多くの専門家が、高齢者がコロナ禍下で外出して体を動かしたり人と触れ合う機会が減ることで、コロナフレイルが大問題になりうると警鐘を鳴らしている。
民間調査では、コロナで外出・面会自粛令が出たことで認知症が進んでいる高齢者も増えているという。

介護事業所の経営状況も深刻だ。
国発表調査では、感染前よりも経営が悪くなったと答えた事業所が昨年10月時点で3割以上いるという。

こうした中、孤立しがちな高齢者の不安を取り除くために、傾聴の重要性も高まっている。
各地の傾聴ボランティアは、オンラインツールなどを通じて画面の向こうの高齢者が生き生きとした表情を見せているのを感じている。

コロナ禍で高齢者の健康づくりに県としてどのように取り組んできたか
専門家指摘などを踏まえて今後どう取り組むか。
経営が苦しくなっている介護事業所の存続に向けてどう支援していくか。
そして傾聴の取り組みをより広げていくべきと考えるが、知事の見解を聞く。

大野知事からの回答

大野知事からの回答は以下の通り。

コロナ禍でも高齢者が体を動かしたり社会と関わりを持てることがフレイル予防には重要だ。
県民の健康づくりを推進するコバトン健康マイレージでは、参加者の約4割が65歳以上となっている。
県としても、人混みを避けたウォーキングや家でできる運動を推奨している。

高齢者が集まって運動を楽しむ通いの場は、感染者拡大によりその多くが中止となっている。
再開へ向けて、県では留意点をまとめたチェックシートを作成し市町村に配布している。

また、ときがわ町では中止期間中も保健師が参加者宅へ伺い各参加者からのメッセージや介護予防体操から成るビデオメッセージで本人の状況を確認している。こうした市町村の優れた取り組みについて、情報共有も図っていく。

加えて、高齢者が自らの健康について考えるきっかけとなるよう、県では運動や交流機会確保など健康チェックのリーフレットを作成した。高齢者本人や専門家の意見を踏まえてコロナ禍を考慮したものに改訂し、市町村を通じて本人や支援者へ配信する。

介護事業所への支援について。

(厚生労働省発表資料より)

国は特に経営の厳しい通所介護事業所に対し、サービス短縮や電話による安否確認でも介護報酬を算定できる特例を設けた。
県では同特例を各事業所に周知している。
またマスクや消毒液など衛生用品確保や飛沫防止パネル設置など十分な感染対策をするため、県では国交付金を活用して介護事業所の感染対策に必要経費を補助している。約8000施設57億円の実績を上げた。
経営基盤強化へ向けて、ICTを活用した職員会議や介護ロボ導入など密を回避した効率運営ができるよう必要経費を補助するとともに、丁寧な経営相談を実施していく。

傾聴について。

県内では37市町村で傾聴ボランティア養成している。
傾聴は認知症にも有用だが、今後は県で実施する認知症サポーター養成講座に傾聴の重要性やコロナ禍での教訓を伝えるとともに、市町村実施講座でも伝えていけるよう共有する。

(久喜市社会福祉協議会HPより)

同時にコロナ禍では電話やオンラインなど会わなくても済む傾聴を進める必要がある。
久喜市においてはふれあい電話サービスとして、電話による高齢者や介護者への傾聴ボランティアが行われているが、高齢者への見回り体制を構築する上でも注目すべき取り組みだ。

県内の様々な取り組みを県HPや市町村会議で紹介するなど、コロナ禍でも工夫を重ねることで高齢者の健康づくりを推進する。

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