【埼玉県議会短信】貧困者への食糧支援など質問 2021年2月定例会代表質問より

埼玉県議会では2/19に今年度最後となる2月定例会が開会され、3/26までの会期で行われる。

2/26と3/1には各会派代表による代表質問が行われた。一部答弁内容を紹介する。

県庁舎の老朽化対策について

小島信昭議員(自由民主党議員団)は、県庁舎の建替について質問した。

質問内容

現在検討されている県庁舎の建替に関して、議会の特別委員会にあたる県庁舎建替等特別委員会は昨年3月に提言を知事へ提出した。

同提言では現状把握に加え県庁の様子をつぶさに確認し先進事例への視察を行った上で、老朽化や狭わい化による劣悪な執務環境の改善やICTへの対応やオープンスペースの確保などを提唱している。

以降、新型コロナ蔓延化により行政のデジタル化や働き方改革が強く求められている。
社会環境の変化踏まえると、同委員会で提示した課題解決へ向けて取り組み加速すべきだ。

知事は2020年度に実施している県庁舎建築性能・劣化診断調査の結果を踏まえ検討するしているが、その調査結果や今後の取り組み方を聞く。

また本庁舎や第二庁舎以外にも、県には130の地域機関がある。
これら機関は県職員の働く場であると同時に、県民に身近なところで行政サービス提供する重要な場となっている、しかし、多くの県民が利用する庁舎においても老朽化や狭わい化が著しい。

高齢者や障がいがある者を含め多くの県民が直接利用するため、待合スペースやトイレなどに十分な配慮が必要だ。
県としても老朽化した庁舎の空調機の更新やLED化など県有施設エコオフィス化計画に取り組んでいる。施設内の照明が明るくなるなど表面的には綺麗になっているが、動線や使い勝手など機能面の改修はおざなりで中途半端な状態に終わっている。

両者にとって使いやすい庁舎を整備するという本来の目的に立ち返り、来庁者のサービス向上や執務改善へ向けて地域庁舎についても抜本的な建て替えや改修を計画的に行うべきと考える。知事の見解を聞く。

大野知事の回答

同質問に対して、大野元裕知事は以下のように回答。


県では同委員会の提言を踏まえ、本庁舎のコンクリートの健全性など調査している。
結果は現在取りまとめているが、全体としてはコンクリートなど建物自体の健全性は目標使用年数の80年まで保たれる見込み。
ただ、鉄筋に至る深さまでコンクリートが中性化している箇所も一部あり、同年数を超えての使用については対策が必要とわかった。
執務環境の指標となる建築性能は、一部庁舎で室温が法令基準に満たないところも見られた。

今後の取り組み方として、2019年度より執務室のレイアウトや机・椅子の更新など執務環境改善事業に取り組み、今年度は本庁舎全ての執務室の整備に取り組んでいる。

来年度は第二庁舎において同事業をバージョンアップしたスマートオフィス推進モデル事業を実施予定。ペーパーレス化などで捻出した空間を各課共通でWEB会議なども可能な打ち合わせスペースとして活用し、これからのモデル的なオフィスを試験導入する。
執務環境に問題があったケースについては、空調の稼働延長や断熱性能向上などで対応する。

同調査ではいまの庁舎をこのままの状態で使ってはいけないことがわかった。
一方、行政のデジタル化や働き方改革が強く求められるなど、社会環境も大きく変わっている。
庁舎再整備にあたってはこうした変化が行政事務やオフィス空間に与える中長期的な展望を考慮する必要がある。
DXの進展などを踏まえた県庁機能の検討を行い、将来的な県庁のあり方を導出する。

地域庁舎についても目標使用年数を80年とし、長期保全計画を策定し保全に努めている。
ただそれら庁舎は昭和40年代に集中的に建てられており一斉に更新時期を迎えることから、建て替え時期の平準化などが課題となる。
DXなど時代の変化を捉えつつ、地域庁舎の建て替え時期や建設のあり方などコストや技術的など様々な点からシュミレーション行う。

引き続き計画的に修繕を行うと同時に、今後の更新時期も検討する。

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生活困窮者への食糧支援について

岡重夫議員(無所属県民会議)より生活困窮者への食糧支援に関して質問があった。

質問内容

コロナ禍で多くの人々が解雇や失業といった目に遭っており、非正規労働者の雇い止めも深刻だ。

こうした中で生活困窮者向けの自立相談支援機関への相談件数は昨年4〜9月に全国で41万件に上り、前年同期比3倍増となった。ひとり親の生活困窮も深刻で、シングルマザーも約3割が職を失うだけに7人に1人とされるこどもの貧困も一層深刻になる恐れがある。

埼玉県社会福祉協議会の緊急小口資金の融資件数も昨年3月から今年1月までの間に5万件、融資額も90億円に上った。
総合支援資金についても融資件数47000件融資額240億円となり、今後コロナ禍による生活困窮者増加でさらなる融資増加が想定される。

こども食堂やフードパントリーにも訪問者が倍増する事態になっている一方で、飲食業の時短営業要請につき食品卸業者の商品は余っている。

生活困窮者自立支援法に基づき町村部では県が市では市が自立支援窓口を設置し、暮らしや仕事で困っている人々への支援にあたっている。そうした人々への食糧支援は急務だ。

同機関がフードパントリーなどと連携し生活困窮者へ食糧支援を行うことが重要だが、県としてどのように取り組むか。

大野知事からの回答

同質問に対する大野知事の回答は以下の通り。

コロナ流行で職を失いその日の食糧にも困る人々の支援が必要になってきている。
県内ではひとり親家庭などに支援を行うフードパントリーや食品関連企業から寄贈された食品などを困窮者や福祉施設に届けるフードバンクなど様々な活動が行われている。

寄贈写真

(埼玉県社会福祉協議会HPより)

県ではこれまで、食品ロス削減から企業にフードバンクへの寄付を働きかけ、福祉施設などへ無償提供してきた。
また2019年には県とセブンイレブンジャパンと県社会福祉協議会とで協定を結び、店舗改装時などに発生する在庫商品の寄贈を受けるなど食品提供の橋渡し役を務めている。

一方でフードバンクと連携して食糧支援を行う自立支援機関は、県内41機関のうち21にとどまる。
未実施機関に対し他機関の情報提供やフードバンクへのマッチングを図るなどして実施を働きかける。
また実施機関に対しては、集まる食品の偏り解消へフードバンクとの協定を促すなど、安定して食糧が確保できる仕組みづくりに努める。

こうした役割を果たすことで、同機関やフードバンクによる支援の輪を広げ必要な食糧支援が進むよう取り組む。

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