政府による緊急事態宣言が発令される前日の1/7、この日のみを会期とした埼玉県議会1月臨時会が行われた。
先月より大宮など県内3地域で飲食・カラオケ店の時短営業を勧め対象店舗に協力金を支給してきたが、同宣言発令に伴い県内全域の店舗でさらなる時短営業を求める。
それにあたり対象店舗に支給する協力金を補正予算として知事が提案し、全会派賛成のもと原案可決となった。
開会に至った経緯 知事提案から
開会にあたって知事提案の説明が行われた。
県内においては昨年末から新型コロナウイルス感染が急速に拡大しており、1日当たり新規陽性者数が連日のように過去最高を記録するなど極めて厳しい状況にある。
感染拡大に歯止めをかけるため、1/2に1都3県の知事が西村康稔経済再生担当大臣を訪問し、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発出について検討するよう要請を行っている。
既に県においては、12/4から1/11までの期間、さいたま市大宮区・川口市・越谷市内の酒類の提供を行う飲食店及びカラオケ店に対して、特措法第24条第9項に基づき営業時間を午前5時から午後10時までに短縮するよう協力要請している。
また緊急事態宣言の発出が見込まれる中、県民のへの外出自粛等の要請と共に更なる営業時間短縮要請を行っている。
このような中で、同日に首都圏の1都3県に対して2/7までの緊急事態宣言発令が決まった。そこで国が定めた基本的対処方針に基づき、県においても同宣言の終期である2/7まで飲食店への営業時間短縮要請を行い、酒類の提供時間を午前11時から午後7時までとするよう要請することとした。
これらの要請に協力した事業者に対して支給する協力金の財源を確保すべく、補正予算として提案し議決するために同会が開かれた。
補正予算内容
令和2年度一般会計補正予算第12号として出された同予算額は582億20万円。財源は国庫支出金「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用する。
使途としては、営業時間短縮要請の期間延長等に伴う「埼玉県感染防止対策協力金」の支給に充てる。
このうち、4億9,800万円を1/8〜1/11の期間中の上記3地域でのさらなる時短要請に係る協力金の増額に計上。1/8〜1/11の4日間に1店舗当たり8万円を協力金として追加支給する。
同宣言発令に伴い、1/12〜2/7の期間は県内全域で時短要請を行う。これにあたる協力金に577億220万円を計上した。支給対象は、県内全域で原則として期間中営業時間の短縮に全面的に協力した店舗(カラオケ店、バー等を含む飲食店)を運営する事業者。要請する営業時間は午前5時から午後8時まで、酒類提供時間は午前11時から午後7時までとする。1店舗当たり最大支給額は162万円。
同予算を合わせ、既定予算との累計額は2兆3,685億3,317万6千円となる。
採択された意見書
同会においては同予算と合わせ、以下意見書が採択された。
新型コロナウイルス感染症対策に係る地方財源確保を求める意見書
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、都道府県知事は数次にわたる補正予算を編成し、医療体制の整備や休業要請に応じた事業者への協力金の支給などの対策を講じてきたが、地方の歳出は異例の規模に達し、その財源確保が課題となっている。
国は、特別交付税による措置や新たな交付金の創設などにより、地方に対する財政面での支援を行っているが、地方の歳出はこれらの充当により賄える水準を超えており、自治体間における財政力格差が新型コロナウイルス感染症対策における手厚さの格差につながることが懸念されている。
国は、本年1月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)に基づく緊急事態宣言を再度発出し、さらに、次期通常国会において特措法を改正し、都道府県知事の権限を強化することとしている。
しかしながら、都道府県知事が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を講じていくに当たり、財源の確保に制約され、先手を打って有効な対策を講じることが困難であることが喫緊の課題となっており、特措法の改正により都道府県知事の権限を強化するだけでなく、権限行使の裏付けとなる財源を確保することが必要である。
よって、国においては、特措法の改正による都道府県知事の権限の強化と併せて、その裏付けとなる十分な財源を確保するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。令和3年1月7日
埼玉県議会議長 田村 琢実
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣 様
厚生労働大臣
内閣官房長官
経済再生担当大臣