コウノトリが飛来する豊かな環境を育もう

並木正年議員(無所属県民会議)から、コウノトリが飛来できる環境整備に関して質問があった。

質問内容

国の特別天然記念物たるコウノトリは、県内で唯一県こども動物自然公園(東松山市)で飼育されている。
そのきっかけは、約30年前国内で絶滅した同種の保護や野生復帰を目指すため埼玉の自然環境の保全を図りたいという初代園長の強い思いがある。

(渡良瀬遊水地HPより)

同市地元の鴻巣市も参加するコウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラムでは、荒川や渡良瀬など7地区で水辺や湿原の保全や再生を推進している。
今年6月に渡良瀬遊水地の人工巣塔で東日本初となる同種雛が確認され、個体識別の足輪装着には700名を超える見物客が集まった。

同種をシンボルに自然環境の保全や地域活性化を目指す同市では、国の地方創生拠点整備交付金を活用して同種の飼育施設を建設している。来年度から飼育と放鳥に向けた取り組み始まる

同議員は3年前に同種を指標とした埼玉モデル構築を提案したが、当時の環境部長からは野生での絶滅が特に危惧される同種を指標とするのは難しいと答弁があった。
当時からは生息数は倍以上になっている。
また、2018年に改定された県生物多様性保全戦略では同種に関する記述もある。

前回答弁以降、同種を含めた多様な生物が生育できる生態系確保に国や市町村や保全団体などとどのように取り組んできたかを尋ねる。

また現戦略に則り、同市における飼育・放鳥に向けてどのように支援するかを尋ねる。

加えて野生動物の餌場となる自然環境保全に向けて、自動車税の1.5%相当を財源としている彩の国緑の基金がある。同基金は公園や施設周辺の緑化に用いられているが、それだけではなく生物多様性に限定して運用すべきと考えるが環境部長の見解を尋ねる。

質問への回答

小池環境部長からの回答は以下の通り。

緑の保全・創出について、県では各所と連携しながら貴重な緑地の公有地化を推進するとともにボランティアや自治会の活動を支援している。
またムサシトミヨやサクラソウなど保護や増殖を、団体や学校と市町村協力のもと各地で実施している。

特に同種は餌が多種多様で行動範囲が広大につき、広域連携が重要となる。そのため国や市町村らと協議会を開催するなど、多様な生物が生育できる生態系保全に努めている。

(同市で建設中の飼育施設、同市HPより)

同市での取り組みは、生物多様性の観点からも意義は大きく、同市と協力していきたい。
そこで、こども動物自然公園で長年飼育している県公園緑地協会が餌の与え方や衛生管理に関する助言を行う。また、県水産研究所でも餌となるフナの増殖指導を行う。
放鳥までには長い時間を要するが、他県での事例を研究しつつ財政的支援を含め幅広く支援を検討していく。

そして緑の基金に関しては、同基金条例に従い、森林の整備・身近な緑の保全創出・県民運動の展開の三本柱で事業を展開している。
これらの取り組みにより豊かな植生が回復し希少種が増殖するなど多様な動植物から成る生態系実現が図られている。
それゆえその活用が生物多様性につながるという点も重視し、事業を進めていく。

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地域包括ケアシステムの在り方について

権守幸男議員(公明)から、地域包括ケアシステムの在り方に関して質問があった。

質問内容

県では当面の目標年次である2025年に向け、全市町村での地域包括ケアシステム構築を掲げ様々な取り組みを行なっている。

(田中滋氏、埼玉県立大学HPより)

同システム先進県を目指すためにはどういった取り組みを行う必要があるかを考えるにあたり、8月に埼玉県立大学の田中滋理事長からその現状と課題を聞いた。

同システム育ての親とされる同理事長は、県の取り組みは先進的と評価している。
そして医療と介護をどう連携させるかという体制論から、その対象を高齢者に留めず地域の様々な資源を生かした共生社会・社会的包摂などより大きな課題をどう解決させるかに向かっているとしている。
同システムは広義のまちづくりの手段であり、居心地の良いまちづくりをどう進めるかということであるとも指摘した。

同理事長の話を受け、同システムをまちづくりの大きな柱とすべきだが、知事の見解を尋ねる。
そして県は市町村とどのように役割分担を行い、今後どのように同システムを推進するかを聞く。

質問への回答

この質問に関して大野知事は以下のように回答した。

高齢になっても住み馴れた地域で自分らしい暮らしができるよう、県では医療と介護の連携拠点整備や介護予防推進、暮らしやすいまちづくりを進めるための生活支援体制整備などに着手している。

地域社会に目を向けると、高齢者だけでなく障がい者やこどもに対する差別や虐待、生活困窮や介護離職といった課題も生まれている。
このような状況を踏まえ、高齢者介護からはじまった同システムの考え方を全ての世代に拡大させていく必要がある。
これにより誰一人取り残さない日本一暮らしやすい埼玉県実現にもつながる。

(厚生労働省資料より)

こどもに限らないこども食堂など、世代を問わず支え合う動きも県内にはある。
全ての人を対象とすることで、まちづくりにおける大きな柱になりうる。
今後の少子高齢化社会の要請に応えるために、埼玉版スマートシティのような取り組みも重要となってくる。

市町村との役割分担に関して、同システムは日常生活圏域を対象に構築されるため、実施主体は市町村となる。
そのため県は市町村の支援を行なっている。具体的には市町村の要望に基づき専門職などからなる総合支援チームを派遣し助言を行うなど、市町村の実態に合わせた支援を実施する。
また、市町村の優れた事例の報告会や各種情報共有にも努めている。

今後も市町村と連携して同システム構築を推進する。

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