川口市内の町工場とクリエイターが繋がり、新たな製品や作品を開発し展示する川口まちこうば芸術祭2023の作品展示が3/12(日)まで川口市立アートギャラリー・アトリア(同市並木本町)で開催されている。主催は川口商工会議所・川口市教育委員会・BASE TIMES kawaguchi。
町工場の技術とクリエイターのデザイン性を掛け合わせ、メイドイン川口を世界へと訴求する。
アート×技術で進化を
オープンファクトリーがきっかけ
今回で2回目となる同祭のテーマは「拡張・広がり」。共立女子大学建築・デザイン学科の石田和人教授のディレクションの下、参加するクリエイター8者のベースとなる部分と同市内の町工場5社の技術を掛け合わせ、メイドイン川口が日本だけでなく世界へ広がるよう、思いを込めた。
同所によると、技術提供を行った5社はもともとオープンファクトリーを行なっていたが、各社の技術を外部に公開する中でものを作りたい人が各社とつながることができるよう企画された。同祭ののロゴもartの「A」とfactoryの「F」を交差させ、両者が右肩上がりに進化することを目指している。
実際に各クリエイターも工場を見学し、クリエイターのデザイン性と各社の技術が生きる作品作りを実現。ものづくりを行なっていない人々からもアイディアをもらいそれを技術で応えることで、相乗効果も生まれる。「作品としてのものづくりのおもしろさを味わってもらえれば」と同所。
見て触れて作品楽しんで
今開催では椅子や机などの家具はもちろん、ジュエリーボックスなどの生活雑貨や時計含む壁面装飾などを展示。オムニバスの時計はECサイトにて販売も行っている。
石田和己氏デザインの「Kerippa」のように、一部には手に触れて楽しめる作品も。落ち葉のような薄いプレートに、子どもたちも興味津々に触れ合った。ギャラリー外にも作品が置かれ、近くに立つ安行桜にもマッチしている。
作品展示以外に、キーホルダー作成のワークショップや同所会員企業のテストマーケティングも実施中。
従業員の動機付けにも
参加企業のうちマエダ(東京都北区、前田三枝子代表取締役)は、板金や溶接の技術を用いてジュエリーボックスや照明などの製作に協力。設計段階はもちろん試作段階でも困難はあったが、試行錯誤の末に完成。本業外のことであっても従業員も楽しく製作にあたっていたという。「デザイナーが入れば町工場の価値も上がるはず」と同社。
フジテック(同市安行原、藤田昭一代表取締役)は、石田和人氏デザインの椅子「yurar」の製作に協力。ステンレスの一枚板を曲げて、デザイン性の実現に応えた。昨年も同様の椅子を製作しているが、穴を開けるなど軽量化も実現している。昨年の参加時には新規取引先もできるなど販路拡大にもつながったが、何より「完成品を展示すると、それだけで社員のモチベーションになる」と同社。
栗原精機(同市峯、栗原稔代表取締役社長)も数多くの作品製作に協力したが、クリエイターのこだわりを汲むのに各社員も苦労していたという。それでもこうした機会を通じてデザインスキルや技術も向上し、今までできなかったような要望にも応えられるようになってきている。「チャレンジすることに意義がある」と栗原社長。同祭での技術向上が5年後や10年後に生きていけばとしている。
ギャラリー
イベント紹介
- 開催日時:3/8(水)~3/12(日) 10:00~17:00
- 開催場所:埼玉県川口市並木元町1-76 川口市立アートギャラリー・アトリア