顔なじみにも笑顔 かすかべ押絵羽子板と特産品まつりが3年ぶり開催

桐箪笥や麦わら帽子など多くの特産品がある春日部市において、その一つである押絵羽子板を主に地域の特産品を訴求するかすかべ押絵羽子板と特産品まつりが12/23と24の2日にわたって春日部駅東口において開催された。主催は同市特産品協会と春日部羽子板組合。

駅前の開催ゆえ、駅利用者中心に多くの者が足を止めて地域の伝統産業に触れ合った。

邪気はねのける羽子板

桐箪笥や桐箱に代表されるように霧を用いた産業が盛んだった同市域では、 戦後以来東京・浅草の押絵師らが多く移り住んだことで押絵羽子板が産業として発展した。同市の押絵羽子板は「邪気をはねのける」ものとされ、古くより厄払いの縁起物や季節を彩る飾り物として、女児の生誕を祝う贈答品として扱われてきた。

桐箱など同市の伝統産業と含め、地域の伝統産業を訴求し地域の誇りを感じてもらうイベントとして同行事は開催されてきたが、コロナ禍で3年ぶりに開催されるに至った。

羽子板や伝統産業に従事する同市内の事業者の出展をはじめ、高さ約3mのジャンボ羽子板も飾られるなど写真映えも意識。初日12/22は午前中の降雨で来場者も少なかったが、翌日12/23は冬晴れのもとで多くの来場者の姿があった。

丹精込め手作りで

同イベントでは同市内で押絵羽子板を制作する5者が出展。

このうちまいづるやは、商品の販売だけでなく制作も実演。羽子板制作にあたっては全体のバランスを取るのが肝という。綿を調整することで、女性の絵であればふくよかしさを、男性であれば力強さを表現。こうした調整には少なからぬ労力を要するが、「うまくできた商品を買ってもらえると、自身の評価にも繋がってうれしい」と語る。

水野製作所(同市藤塚、水野大代表)も自社で制作した商品を販売。一品一品を手作業で制作するが、微妙に形も異なる。逆にそうなることで愛着も湧くという。

後継者育成が課題

地域で30年近く操業する秀花(同市備後東、水野秀彦代表)では、小さめの商品が好調。「商品の売れ行きで景気がわかる」という。

同市内に限らず押絵羽子板産業おいては後継者の確保に困る制作者も多く、その育成が課題となっている。「とにかく踏ん張っていってやっていければ」と意気込む。

話題さらったあのスターも

一龍(同市南、小西恵三代表)は、メジャーリーグ・大谷翔平選手をあしらった巨大羽子板を展示。「話題をさらった人気者なので」と起用の理由を話した。折からの物価高も各制作者に影響を与えているが、来年は平和な年となって物価高も解消してくれればと期待を込める。

浅草の羽子板市にも出展した匠一好も出展。「地元だから地元の得意客の顔が見られる」と同イベントの魅力を語る。各者に気さくに話しかける来場客も多く、干支をあしらった商品を毎年買い求める者もいるという。「来年は例年と同じく3日間開催になってくれれば」と来年に希望。

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地域の特産も多数出展

押絵羽子板以外に、桐箱など地域の特産品も多数出展。

春日部桐箱工業協同組合(同市粕壁東、厚川秀樹理事長)は、組合企業の制作した桐箱を販売。材料の値上がりもある中、高級品である桐は保存用容器としての需要も高い。埼玉デザイン協議会と協力して新商品の開発にも取り組んでおり、ものづくりを通じて障がい者を支援する。

おづつみ園(同市粕壁、尾堤宏社長)は茶製品の販売や試飲を展開。椅子も設けられ、買い物ついでに腰掛ける者も多くいた。「来年は元気な年になれば」と語る。

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