視覚障がい者が安心して駅を利用できるよう、県内各地の鉄道駅でホームドアの設置が進められている。
そんな中で来週末の大宮では、視覚障がい者を含めたあらゆる人々を対象にした美容イベントとしてインクルージョンフェス2020大宮マルイが開催される。(主催:日本視覚障がい者美容協会・ネイルルブライユ)
色見本のないネイルサロン
視覚障がい者に向けたネイルサロン
同イベントを主催するネイルルブライユ(上尾市)は視覚障がい者のオシャレを応援する出張型ネイルサロン。
同店の発起人となったのは、同市在住の佐藤優子氏。
同氏は貿易会社に勤務する傍らネイリストの資格を取得し、大手ネイルサロンで経験を積む。退職後は、独立に向けて介護施設でネイルを行うボランティアを展開していたが、その中で目が不自由な人出会っても爪を切ることが不便なことに気づいた。こうして日本初の視覚障がい者のためのネイルサロンたる同店を2018年に起業している。
同店での活動を通じて、「見えない人がネイルをするのか」という社会の固定概念にとらわれず、見えない見えにくい人達のあらゆる不便を取り除き、視覚障がい者の自立と社会進出支援に大きく寄与している。
点字を用いたオリジナルネイル
目で見ることはできなくとも、視覚障がい者が健常者と同じく自信を持てるよう同店の展開するネイルには大きな特徴がある。
点字をアートに!
ブライユアート💅
なんて書いてあるでしょう? pic.twitter.com/9BkWQZ4qNH— Naile Le Braille(ネイルルブライユ) (@punto806) February 1, 2018
それがブライユネイルだ。
これは通常のジェルネイルにスワロフスキーのストーンで点字で言葉を入れたり、持込みのデザインの中に顧客の名前を入れたり一文字だけ点字を組込むもの。色見本こそないものの、プロの目線とともに自分だけでは難しいおしゃれに挑戦できる。
店名のルブライユも、フランス語で点字を意味する「Le Braille」に由来する。
他にもテレビ電話でのリモートメイクをはじめ、白杖のデコレーションも行なっている。加えて創業以来の高齢者施設でのネイル体験なども展開する。
君は光ー誰もが輝けるマルシェ
月一の美容マルシェ
同店での経験をもとに、同氏は昨年には一般社団法人日本視覚障がい者美容協会を立ち上げている。同会は「いつ見えなくなっても怖くない社会」をスローガンに、視覚障がいを持った女性の美容はもちろんその自立や社会進出を支援する。
その取り組みのひとつが、新宿のオープンカフェで毎月開催しているマルシェドゥアリスだ。
ドゥアリスはノルウェー語で「君は光」を意味するが、同企画では視覚障がいを持つ女性に向けてネイルやメイク体験のほか、タロットやハーバリウムのワークショップなどを行う。
女性目線でプログラムされた内容での体験・体感を通して、視覚障がい者が読むことができないファッション雑誌の世界を再現している。
マイノリティな環境での体験ができるよう、健常者や企業の参加・見学も歓迎している。
地元埼玉での凱旋開催
視覚障がい者当事者をはじめ各方面で好評を得たマルシェだが、この度大宮マルイの協力のもとインクルージョンフェスとして同会の地元・埼玉で開催されることになった。
ファッションビルのサービスや雰囲気が加わり、一層オープンな環境で開催される今回のマルシェは2/22(土)〜23(日)の2日間開催。
視覚障がい者専門ネイルサロンのワンコインネイル体験、触って選べるファッション雑貨やアクセサリーの展示販売会、弱視女性によるクイックマッサージ、 全盲の女性によるアロマオイルの販売(22日のみ)、 盲導犬の洋服展示の実施を予定する。
来場時に先着順でもらえるプレゼントや、商品を購入したりサービスを体験した来場客に向けた同ビル7Fレストランの特典もあるという。
「この機会に是非、見える人がマイノリティなマルシェを体感してみてはどうか」と同会。
その他イベントの詳細については次ページの「イベント紹介」の項を参照されたい。