
※この投稿2回に渡ってお送りする予定でしたが、諸般の事情により1回に統合させていただきます。
こんばんは!
埼玉のホットな情報をお届けする日々是埼玉です。
アクセスが下がるのは覚悟していますが、埼玉県の最新の経済情勢について当サイトなりに分析しましたので、共有いたします。
日本全体としては回復基調
4~6月のGDPは上方修正
バブル崩壊後、いわゆる「失われた20年」を経て、いよいよ元号が変わろうとしている我が国。
SankeiBizによると、今年4〜6月までの第2四半期における国内総生産(GDP)の改定値が算出され、年率2.6%の成長と速報値の1.9%から上方修正される見込みになるとのこと。設備投資の好調を受けて、特に製造業が好調だったことからこのような結果になったということでした。
経常利益は過去最高
加えて財務省が3日発表したところによると、日本企業の売上高は前年同期比5.1%増の344兆6149億円、経常利益(企業が営業活動で得た利益にそれ以外の活動で得た利益を足したもの)は同17.9%増の26兆4011億円で、全四半期を通じて過去最高となりました。また、設備投資は12.8%増の10兆6613億円だったということです。
あまり個々人レベルでは実感は持てませんが、どうやら日本全体として景気は回復傾向にあるようですね。
県内の景気は下げ止まり?ー6月の景気動向指数から
では県内の景気は?
翻って我が埼玉県。
先日もものづくり技能フェスタの投稿でお伝えしたように、製造業出荷額が全国6位と巨大な経済基盤を有していますが、果たしてその景気はいいと言えるのでしょうか?
それを示すものとして、先月31日に埼玉県は6月の埼玉県内景気動向指数を発表しました。
それによると、「6月の埼玉県内景気動向指数(CI一致指数)は下げ止まりを示している」とのこと。
へぇ〜、埼玉だと景気は下げ止まりなのか。でも、この景気動向指数ってなんだろう?
2010年を100とする指数
この景気動向指数とは、ある年の数値を100としてそこからどの程度増減したかを比較するための数値。
これを見ることで大まかに景気が回復傾向か後退傾向かわかるというものなんです。
この数値は以下のように、景気に先行するものと一致するもの、さらに遅れてやってくるものの3通りに分類されます。
- 先行指数:県内新規求人数,新設住宅着工床面積 ,乗用車新車新規登録届出台数,倒産件数など
- 一致指数:県内有効求人倍率,生産指数,出荷指数,百貨店・スーパー商品販売額,所定外労働時間指数など
- 遅行指数:県内在庫指数,常用雇用者指数,消費者物価指数,家計消費支出,法人税収入など
これらをそれぞれ一定の係数を掛けたうえで足し合わせて平均を取り、基準となる年時点での合計と見比べるというわけです。
一致指数が下げ止まり
そしてこれらの各数値が以下のようになったということです。
- 先行指数:99.9
- 一致指数:127.1
- 遅行指数:121.7
若干先行指数が低いですが、同数値は前月と比較して0.5ポイント上昇し、3か月連続の上昇となりました。遅行指数は、前月と比較して2.4ポイント下降し、2か月ぶりの下降となりました。
最後に一致指数は、前月と比較して1.0ポイント下降し、2か月連続の下降となったものの、過去3か月間の平均は0.83ポイント上昇して3か月連続の上昇、過去7ヶ月間だと0.17ポイント上昇し、3か月連続の上昇となりました。
そこから一致指数については、下げ止まっていると結論づけられます。
(参考:「埼玉県景気動向指数(平成30年6月分)の公表について」埼玉県 2018/8/31)
川下は好調も川上は不調?
このように前月に比べると多少の減少はあったといえ高水準を維持していますが、果たしてそうした増減に寄与したものは一体なんだったのでしょうか。
上記の資料によると、有効求人倍率や所定外の労働時間数、百貨店やスーパーでの販売額が増加に寄与していたようです。
反面、建築着工床面積(事務所など非居住用)、投資財出荷指数(オフィス備品や生産機械など企業活動に使われる財)、生産指数が振るわなかったということでした。
こう見てみると、オフィスや小売店などいわゆる川下の部分では活動が活発になっているようですが、製造現場などその大元となる川上の部分ではあまり活発になっていない、ということでしょうかね。
生産・出荷とも2か月ぶりの低下(6月)
県の発表によると、同月の鉱工業指数は以下のような感じ。
指数 |
前月比(%) |
前年同月比(%) |
|
生産 |
93.8 |
-1.7 |
-1.5 |
出荷 |
95.2 |
-2.4 |
-0.6 |
在庫 |
113.2 |
-2.9 |
-5.0 |
在庫率 |
136.0 |
1.0 |
4.7 |
在庫率以外は全て下がっていますね。
生産指数は生産用機械工業やプラスチック製品工業などの低下により2か月ぶりの低下となり、出荷指数は生産用機械工業や電気機械工業などの低下により2か月ぶりの低下となりました。
一方在庫は2か月ぶりに低下したものの、在庫率(出荷に対する在庫の割合)は2か月ぶりの上昇となっています。
やはり日本全体で設備投資は盛んになっていても、埼玉のものづくりには恩恵があまりないということでしょうか…。
四半期では生産・出荷が上昇中(4~6月)
一方、4~6月の四半期の数値を見てみましょう。
指数 |
前期比(%) |
前年同期比(%) |
|
生産 |
94.1 |
2.3 |
-0.5 |
出荷 |
96.0 |
3.2 |
0.5 |
在庫 |
113.2 |
-2.0 |
-5.0 |
在庫率 |
141.4 |
-1.9 |
5.4 |
3ヶ月単位で見ると状況は違うようです。
生産用機械工業、食料品工業などの上昇により生産と出荷は3期ぶりの上昇となりました。在庫は2期ぶり、在庫率は2期ぶりの低下となっています。
個々の月で見ると繁忙期だったり閑散期だったり波があるのですが、このようにまとまった期間で見ると上昇傾向にはあるようですね。
100%断定はできませんが、一時的に数値が落ち込んだとしてもこのまま日本全体で設備投資熱が強まっていくのであれば、県内のものづくりにも挽回のチャンスは十二分に残されていると言えるでしょう。
雇用環境も回復中!ー6月の勤労統計から
最後に、県が毎月行っている勤労統計から、埼玉の雇用環境を見ていきましょう。
給与は11ヶ月連続増加中!
埼玉県 |
全国 |
|||
金額 |
指数の前年同月比 |
指数の前年同月比 |
||
現金給与総額
定期給与 所定内給与 |
358,442 円
243,587 円 225,692 円 |
3.1%
1.3% 1.2% |
11か月連続プラス
26か月連続プラス 26か月連続プラス |
3.3% 1.3% 1.1% |
まずはお給料。
現金給与総額は前月比3.1%増の358,442円で、11か月連続のプラスとなりました。製造業0.7%増、医療・福祉0.1%増となっていますが、卸売業・小売業は4.7%減となりました。
なお、全国では3.3%増加しているようなので、埼玉の増加のペースはそれよりも若干低いようです。
全国よりも働きすぎ!?
埼玉県 |
全国 |
|||
時間 |
指数の前年同月比 |
指数の前年同月比 |
||
総実労働時間
所定外労働時間 |
142.9 時間 10.8 時間 |
0.7% 4.8% |
4か月連続プラス
3か月連続プラス |
-1.0% 0.9% |
続けて労働時間。
総実労働時間は142.9時間(前年同月比0.7%増)で4か月連続のプラスとなり、全国レベルの-1.0%とは真逆の結果となりました。製造業2.1%増、卸売業・小売業1.7%増、医療、福祉0.3%減とやはり製造業が増加に寄与しているようです。
また所定外労働時間は10.8時間(前年同月比4.8%増)で3ヶ月連続のプラスで、全国レベルの0.9%増を大幅に上回っています。
季節的なこともあるのかもしれませんが、埼玉って働きすぎですね…。
雇用も3ヶ月連続上昇中
埼玉県 |
全国 |
|||
人数 |
指数の前年同月比 |
指数の前年同月比 |
||
常用労働者数 |
2,118,720人 |
1.3% |
3か月連続プラス |
1.5% |
最後に雇用。
常用労働者数は2,118,720人(前年同月比1.3%増)で、全国レベル(1.5%増)ほどではないものの3か月連続プラスとなりました。
製造業1.2%増、卸売業・小売業3.8%増、医療・福祉4.1%増と、主に第3次産業sで雇用が増えているようです。
なお雇用形態別に見てみると、一般労働者は1,313,082人、パートタイム労働者は805,638人でになっています。
パートタイム労働者の比率は38.0%(前年同月差1.7%減)ですが、全国では30.61%なので、県内では比較的パートタイム労働の需要が高まっていると言えるでしょう。
最後におことわり
以上、大まかではありますが6月時点の各種統計から、埼玉経済の状況を当サイトなりに分析してみました。
皆様からしてみるとこんなお堅い話よりも飲食店やレジャーの話の方がいいのだと思います。
ですが、埼玉の情報発信サイトとして、様々な側面から埼玉の現状を伝えていくことが当サイトの使命だと、管理人は考えております。
何よりビジネスフィールドとしての埼玉の可能性も訴求していきたいと強く考えておりますので、皆様からすると嫌かもしれませんが、今後もこうした投稿は続けていきたいと考えております。
長くなりましたが、以上になります。
ありがとうございました!