帝国データバンク大宮支店(大宮区桜木町)は、埼玉県内全業種1万社の今年10月時点の後継者の決定状況と事業承継動向について調査を実施しその結果を公表した。
後継者が不在の企業は全体の66.0%と3社に2社となった。割合自体は減少傾向にあるが、依然として多くの企業で後継者が不在になっている現状がうかがえる。
県内1万社の後継者不在状況
(同社発表資料より、以下同)
県内約1万社のうち後継者が不在と答えた割合は全体の約66.0%に上り、前年比1.6%減となった。依然として多数の企業で後継者不在が続いているが2017年以降4年連続で低下しており、政府や自治体や金融機関などが一体となって取り組んだ地道な支援が中小企業にも浸透している様子がうかがえると分析される。
なお埼玉県における同率は47都道府県中第17位で、全国平均は65.1%。
社長年代別では、30代以外のすべての年代で後継者不在率が低下。中でも50代の後継者不在率は70.4%で、同4.3%減と大幅低下になった。他方で30代同0.2%増となり同率も9割に達している。
後継者不在悩む建設業ー業種別の状況
業種別に同率を見ていく。
いずれも業種も前年比は低下しているが、同率が最も高いのは建設業で同0.9%減少の72.8%に上る。全国的にも同業種は同率が高く、埼玉に限った話ではないようだ。
また、運輸・通信業は同4.0%減の63.5%と大幅な減少となった。
不動産など例外はあるものの、総じて全国平均よりも同率が高い業種が多い。
同族承継からシフト傾向?
2018年以降の事業承継が判明した約1,200社について、先代経営者との関係性(就任経緯別)を見る。
このうち最も高かったのは同族承継で42.6%に達している。それでも、前年比4.1%減、2018年比では約8.1%減となっており、同族継承が占める割合は年々減少傾向にある。
一方で社外の第三者が就任した外部招聘は6.3%と、前年比2.0%増となった。
また内部昇格は27.3%で同0.3%減となったが、ここ3年ほどはほぼ横ばいとなっている。
「同族間での事業引き継ぎから幹部社員など社内外の第三者人材へ少しずつシフトする傾向がみられる」と同社。
後継者候補の状況
後継者候補が判明する約3,300社の後継者属性をみると、最も高いのが子供で44.4%だが、前年比0.4%減となった。2番目に高い非同族も24.6%と同0.6%減。
特に創業者や同族承継で子供を後継者とする割合が高いが、子供による承継は減少傾向にある。
社内外第三者の非同族を候補に位置づけているのは外部招聘や内部昇格、買収などを含むその他に多い。
社長年代別に見ると、60代以降の社長では候補として子供を選定するケースが多い。他方で50代以下の社長では親族や非同族を後継候補としている企業が多いが、この傾向は従来より変化はない。