
SNSやフリマアプリの普及などで、近年主婦層を中心にハンドメイドやダンス教室など得意なことや好きなことを生かして収入につなげていく動きが活発になっている。
個人や任意団体で活動している者が中心だが、ゆくゆくは開業そして法人化という動きも視野に入れている者も少なからずいることだろう。
ハンドメイドなどに限らず、そのような展望を持つ者にとって重宝するのがチャレンジショップだ。開業を志す者に対して一定期間費用や経営面でサポートを行なう。
川越市など埼玉県内において同制度が展開されている自治体も多いが、その一つである行田市においてチャレンジショップ2店舗が今月より始動している。
行田市のチャレンジショップについて
同市におけるチャレンジショップでは、空き店舗を活用し開業を志す者に対して1年間テナント料の全額補助や各種経営指導などを実施する。
対象期間が過ぎた後は、別の空き店舗に移って営業を続けることができその場合3年間テナント料がゼロとなる。
基本的に市内に出店を希望する者が利用できるが、特に開業したくてもなかなか踏み切れない女性の悩みに対応したものになっている。
気軽に贈れるプレゼントーCandy bouquet gift 道
商工センター隣のテナントでは今月より2店舗が始動している。いずれもオーナーは市内在住の女性だ。
その一つがCandy bouquet gift 道(キャンディブーケギフトみち)だ。
店舗の紹介
枯れないブーケとして近年注目されているキャンディブーケ。
生花の代わりに菓子やリボンやバルーンなどをあしらったブーケで、祝い事やバレンタインデーといったイベントなどで渡せるギフトになる。
同店においてはそのようなキャンディブーケの販売やオーダーメイド製作を行う。既製品では500円程度で購入できるものもあり、気軽に購入できる。オーダーメイドも1000円からで、顧客の好みを聞きながら好きな種類の菓子や装飾を配していく。
SNSで商品写真を見かけて来店する人も多いが、中には花屋と間違えて来店する人もいるのだそうだ。
キャンディブーケ以外にも公民館などでのワークショップやおむつケーキの製作も展開する。
開店に至ったまでの経緯
同店を切り盛りする平間さんに開店までの経緯を聞いた。
元は工場で勤務していたが、あるとき体を壊し職場から離れたことがあった。そんな折に手を動かす楽しみとしてハンドメイドやキャンディブーケに出会った。
最初は趣味で嗜むくらいであったが、次第に「楽しいことを仕事にしたい」という思いから開店を意識するようになった平間さん。協会の研修を半年ほど受け、スキルを磨いた。
こうして自信をつけてチャレンジショップに応募した。行田で育ったという平間さんにとっては「地元で開店したい」という思いも強く、うってつけだったようだ。
開店にあたってはご家族からの協力も大きかった。保育系学生の娘さんは店内のポップや装飾を手伝い、ご実家の父兄も内装や備品で協力してくれた。
開店後に感じたこと、意識の変化
いざ開店してからは、顧客や同じ販売者からの声にも素直に受け入れることが重要になった。
あるとき地元名産の青大豆を使った菓子用いたブーケを製作することになったが、市の担当者に「この値段なら高くて買えない」と言われたこともあった。同じ女性からの声だっただけに素直に受け止め、商品を再デザイン。同じく店内で販売しているキャンディポットを活用し菓子を食べた後も形が残るよう付加価値を高め、価格も適正なものに設定した。
店舗を構えるからにはビジネスとして展開することが求められるが、そうなると単なる楽しみではなくしっかり顧客に気に入られ値段以上の価値があるものと思ってもらえるよう努めていく必要があるということだろう。
それでも何より、自分の好きなものでビジネスができるだけに感じる楽しさや商品が売れた時のうれしさは大きい。家でイライラすることも少なくなったという。
今後の方針・読者へのメッセージ
同店の開店後の手ごたえは上々で、対象期間後も別テナントで引き続き営業していく方針だ。
今後はイベント出店や量産体制構築によるさらなる低価格化にも着手する。
「祝い事やプレゼントでキャンディブーケを活用してくれれば」平間さん。