ポップカルチャーの発信拠点たるところざわサクラタウンに注目の集まる所沢市東所沢地域だが、実は近隣にはあるアニメにちなんだ場所がある。
東所沢駅から北に歩いて10分、同市松郷がそれにあたる。
キャラクターマンホールが道案内
その場所へ向かうべく、一旦は同施設へと向けて足を進める。
前回後半にも記したが、同駅から同施設へと向かう道のりにはKADOKAWA社が扱うキャラクター類が描かれたLED式マンホールが設置されている。
「ファイブスター物語」や「機動戦士ガンダム the origin」、春日部市や久喜市を舞台にした「らき☆すた」のマンホールもある。
絵柄は28種類あり、どんなキャラクターが描かれているのか考えると暑い中でも歩くのが楽しくなる。
木々の呼応 武蔵野樹林パーク
マンホールをたどっていき、同施設に隣接する東所沢公園へ至る。
住宅街の中の憩いの場所として設けられた公園だが、同施設の開設に合わせてその西側一部が武蔵野樹林パークとして生まれ変わった。
埼玉県内初の公募設置管理制度(P-PFI)を経て、角川文化振興財団が管理運営を担う。
コナラなどの落葉広葉樹の森を武蔵野樹林として位置付け、魅力向上へ向けて同市などと連携して環境整備を進めている。
その一環として、常設展示「どんぐりの森の呼応する生命」の公開が今月より始まっている(有料)。
チームラボがインタラクティブな光のアートを演出。昼間は木々の間に置かれた卵形体のovoidが自立しつつも呼応する生命を表現し、夜は木々への幻想的なライトアップがなされ木の光が周囲に呼応する様を表現する。
このほか来月には隈研吾氏設計の武蔵野樹林カフェがオープンし、地元産原材料を使った小籠包や地ビールなどが提供される予定だ。
あのアニメにも登場!?所沢市松郷
ピンと来るかもしれない地名
こうしているうちに同施設や角川武蔵野ミュージアムが見えてきたが、一旦それらはお預けにしてさらに北へ進む。
すると東西に流れる東側をまたぐ橋がある。
ふと橋の名前を見ると松郷橋とある。今いるのは同市東所沢和田だが、この橋を渡ると同市松郷に入る。
この時点で何かピンと来る読者もいるかもしれない。
作品にぴったりな地名
この松郷という地名、宮崎駿監督作品で日本を代表するアニメの一つであるとなりのトトロ(1988年公開)で主人公一家が暮らす松郷地域の由来になっているのだ。
武蔵野台地の中央に位置する同地は、物語が繰り広げられる1950年代には劇中同様のどかな田園風景が広がっていたようだ。この近隣に在住している同氏としても、自分の思い描いている作品像にぴったりの場所として同地名を選んだのだろう。
ちなみに劇中でねこバスの行き先として表示された牛沼は同市牛沼、主人公の母親が入院している七国山病院も八国山緑地(東京都東村山市)に由来する。同緑地までは直線距離にして約5kmであり、「大人の足でも3時間」という劇中の表現はあながち間違いではないようだ。
モニュメントこそないものの
それでも現在では住宅地や倉庫・工場などとして使われており、当時の面影は少ない。駅から徒歩10分圏内ということもあり、1,605世帯3,582人(2017年9月末時点)が暮らしている。
同地中央には国道463号線と県道126号線が交わる松郷交差点があり、交通量も非常に多い。
駅周辺に比べると店舗は少ないようだ。
同作にちなんだモニュメントのようなものはないが、随所に劇中を彷彿とさせる緑地が見られる。
この先を進んでいくと、トトロが眠っているのかもしれない。
観光施設も整備中
再びサクラタウン側へと戻ってきたが、東川を挟んで向かいにあたる場所では工事が進んでいる。
これは同市がコンポストセンター跡地を活用して来年5月開業を目指し工事を進めている所沢市観光情報・物産館。
同市の観光情報発信や特産物のPR・販売などを行うマルシェのほか、駐車場及び大型バスの発着・転回場機能を持つ公共施設となる。向かいのサクラタウンとも連絡橋で結ばれ一体化したイベント開催などにも対応する。
松郷という土地にあるだけに同作にまつわる展示なども期待できそうだ。
このほか、同市三ヶ島では同作にちなんだ公益財団法人トトロのふるさと基金が作中に出てくるような雑木林の保全整備や魅力発信にあたっている。