KADOKAWAらによるところざわサクラタウンで注目度が高まっている所沢市東所沢地域。
体温級の暑さが続くが、「クールジャパン」の発信地として実際に同地域を訪ね、その今を体感してきた。
連載形式で同地域の魅力を取り上げていく。
鉄道開通で宅地開発
簡単に同地域の特徴を紹介する。
所沢市東部に位置し、同市東所沢や東所沢和田や新郷などの大字から構成される東所沢地域。
後述するJR武蔵野線東所沢駅をはじめ、同駅から約1km圏内に国道463号線や県道179号線が東西に走る。
主には住宅地として利用されているが、ドラッグストアやスーパーなど生活用品を扱う店舗や武蔵野の面影を残す林や木々も多く残されている。同駅開業を機に一気に開発が進められた地域なのだというが、大まかなイメージは閑静な住宅街といったところだ。
同地域内の東所沢和田では同市やKADOKAWAらにより「COOL JAPAN FOREST」構想の一環として、ところざわサクラタウンの造成が進められている。同社の物流・本社機能や角川武蔵野ミュージアムによる文化芸術振興などを通じて、国内最大級のポップカルチャーを発信拠点として機能する。現在同ミュージアムなどがプレオープンしており、本格的なオープンは11/6を予定する。
「地味」だけどもアツい駅
2面4線の理由は
大宮から南浦和を経由して約30分、同地域の玄関口たるJR武蔵野線東所沢駅に到着。
1973年の同線開業に伴って開業した同駅。2019年度の1日あたり平均乗員人数は15,088人で、両隣でいずれも2万人以上の新座・新秋津駅に比べるとひと回り少ない。
街の中心部から離れた同駅には乗り換え路線もないので、どちらかというと「地味」な駅の印象を受ける。
しかし同駅には他の駅にはない特徴がある。その一つがホームの配置で、同線の駅の大半が2番線までなのに同駅では2面4線で4番線まである。
なぜなのかというと、同駅は車庫の最寄駅にあたるからだ。
同駅東側には東所沢電車区が所在する。このため中線の2・3番線には頻繁に回送列車が出入りし、朝夕には同駅発着の列車も多数設定されていて、始発駅としての性格もあわせ持つ。
ホームで見つけた桜
ホームには自販機やベンチといった設備が随所に設置されている。
中には同駅にちなんで特徴的なものも見られる。
それが自立型の駅名標で、新たにオープンするサクラタウンをイメージして桜色を纏う。また各ホーム新座寄りに設置された待合室にも同じような装飾がなされる。
本棚に改装中
ホーム自体は地表下の掘削にあり、改札は階段を上り地表面の駅舎内にある。
駅ナカのような商業施設はないが、随所に立ち入り禁止のコーンが配され、警備員も立つ。
同駅は現在、11月のところざわサクラタウン本オープンに向けて改装工事の真っ只中にある。
開業以来の駅舎を使い続けてきたが、同施設に合わせて本棚をイメージした駅舎に生まれ変わるという。
完成後は、木と文化の融合として「本+本棚」をイメージした外観デザインとなる。
また同駅内部についても今年度松をめどに改装が進められており、同駅がほぼ中央に位置する「武蔵野の樹木(木立)」を意識したデザイン構成となる。木調素材などを各所に配置し、老朽化した床や誘導・警告ブロックの更新や案内サイン・旅客トイレ前面デザインの見直しにより、より分かりやすく使いやすい駅舎を目指している。
将来的には乗換駅に?
そして、将来的には同駅も乗換駅になるかもしれない。
現在光が丘から発着している都営地下鉄大江戸線が、大泉学園を経由して同駅へと至る構想があるのだ。
同市をはじめ新座市や東京都清瀬市などが延伸促進協議会を結成し、埼玉県や東京都に対して延伸を求めている。
サクラタウンにも羽田・成田空港から直行バスが出るというが、同施設の盛況次第ではこの延伸構想も加速するのかもしれない。
期待高まる駅周辺
大型商業施設はないが、バスロータリーや飲食店・生活用品店などが立地する同駅周辺。
比較的落ち着いている印象ではあるが、2018年には同施設オープンを見越して地域の商店らによる東所沢商店組合も結成されるなど、地域がかける期待は高い。
後の回でも取り上げるが、同駅から同施設へと続く道のりにはKADOKAWA社が扱う作品があしらわれたマンホールが設置されている。LEDを内蔵し夜になると光るもので、このようなマンホールは全国初という。
今でこそ閑静な住宅街の駅として落ち着きを見せている同駅だが、11月の同施設本オープンに合わせて大化けする時は近づいている。
つづく